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働き方改革を支えるITのチカラ


近年、長時間労働の是正や、育児・介護と仕事との両立などといった、働き方の改革についての議論が深まっており、政府も2016年より「働き方改革実現会議」を設置した。そこで今回は、日本全体で働き方改革についての動きが巻き起こるなか、IT部門としては何ができるかを考えていきたい。

ITを使用した新技術の導入


IT部門は、新技術導入を通じた業務と働き方の効率化――生産性を向上させ、同じ労働時間でより大きな成果を挙げることを推進することが本分だといえる。その観点からいえば、業務効率化のための新技術について知るのが改革の第一歩といえる。
そうした新技術として注目されているものに、RPA(ロボティック・プロセス・オートメーション)とテレワークがある。
RPAは、企業などにおける事務や管理などのホワイトカラー業務をロボット(ソフトウェア)によって自動化する取り組みを表す言葉である。工場でロボットが製品の組み立てや溶接を行うのと同様に、オフィスでのパソコン操作などの人手による作業を代行させることで、業務の品質向上や作業時間の短縮、業務変更対応性向上などの実現を目指す。
考え方としては、表計算ソフトMicrosoft Excel上での作業をExcelマクロで自動化することに似ているが、これは厳密には異なる。RPAの目的とはコンピューター上のより幅広い操作を自動化することであり、AI(人工知能)や機械学習等を含む認知技術を取り入れるのが特徴だ。
実施例としては経済産業省の取り組みで、答弁をAIに下書きさせる実証実験がスタートしている。その内容はAIに過去5年分の国会の議事録を読み込ませてから、与えられた質問に対して過去の答弁内容を踏まえた回答できるかを検証するというもの。国会答弁対応はかねてから職員の長時間労働の要因として問題視されており、負担を解消する手段として大いに期待されている。
一方、テレワークとは、IT技術を活用して場所や時間にとらわれない働き方をするための取り組みのことだ。在宅勤務や、勤務先以外のオフィススペースを活用するサテライト・オフィス勤務などがあてはまる。テレワークの誕生は1970年代のロサンゼルスとされており、その目的はマイカー通勤によるエネルギー危機対応や大気汚染緩和だった。日本でも1980年代から実験的に開始する企業が現れ始めたが、注目を集めたのは2000年代に入ってから。ノートPCの普及やSOHO(スモールオフィス、ホームオフィス)の広がりとともに、テレワークが脚光を浴びはじめたのだ。近年では通信環境の整備やクラウド技術の普及によりハードルが下がったことで、企業での導入も見られるようになってきた。

働き方改革を支えるIT部門の働き方は変わるのか


しかし、RPAやテレワークなどといった新技術を取り入れるだけでは、働き方の改革は難しいだろう。働き方改革を実現するためには、新技術導入の一つ上の段階で戦略を考える必要がある。RPAなどの業務自動化を実現するためには、自動化しやすい業務と自動化が難しい業務を分けなければならないのだ。
逆に言えば、自動化しやすい業務を適切に分割することができれば、Excelマクロなど従来の技術を使った自動化が可能な場合もある。また、テレワークを実現するためにはオフィスでみんなが集まってする業務と、作業場所を問わない業務を分けて考えなければならない。
経済学の祖であるアダム・スミスがピン工場の例をだして説明しているように、分業は生産性を高める手段である。オフィス業務は工場などと比べて分業が難しい面が多かったが、これからは新技術の導入のためにもオフィス業務の分業が求められている。そのためには自らの一連の業務を見直すことが重要だ。そうした検討のなかで、自動化できる業務やほかの人に任せられる業務が見つかれば、働き方改革は成功に近づくだろう。
働き方の改革はどのような仕事でも求められている。そのなかで、IT部門は会社全体の働き方を改革する役割を担ってきた。一方で、自分たち自身の働き方改革は十分ではないと感じている人も多いだろう。IT部門において、長時間の残業や仕事の大変さはもはや常態化しているし、育児や介護との両立を困難と感じている人も多い。働き方改革の第一歩として、自らの業務を分業の観点から見直すことを提案する。

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