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戦国時代のシステム再構築?!

長きにわたった戦国時代を終わらせ、天下統一を実現した徳川家康。家康が天下を取った要因の一つに、現代流に言えば「システム統合」の成功があった。

徳川家康、甲州流の軍法を取り入れる

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江戸時代に成立した公式の徳川家康伝記である『徳川実紀 家康公伝』によれば、織田信長が本能寺の変に倒れ、家康と豊臣秀吉が天下を争っていた1585(天正13)年、家康譜代の家臣であり徳川家の柱礎のように思われていた石川数正が秀吉の元に出奔してしまう。このとき家康が行ったのは、支配下にあった甲斐から軍法書や武器類を集めたり、甲斐の旧武田家の家臣から武田信玄の時代にあったことを聞き取ったりして、甲州流の軍法を取捨選択して取り入れることだった。

甲斐武田家は、長年にわたり織田信長やその同盟関係にあった徳川家康と戦ってきた。徳川からすれば、1573年(元亀4年)の三方ヶ原の戦いなどで苦杯をなめさせられ、1582年に同盟の織田軍によってようやく滅ぼせた相手である。そうした因縁の相手である武田軍から軍法を取り入れるのは、家康自身苦渋の選択だっただろうし、また家康配下の人たちも抵抗があったのではないか。
それでも甲州流の軍法を取り入れたのは、甲州流が優れたシステムであったこと、そして徳川家康が合理的でリーダーシップのあるリーダーだったからだと推測する。

なお、武田信玄の事跡や逸話を伝える『甲陽軍鑑』が成立して広く読まれたのも、家康が甲州流の軍法を取り入れたことに端を発するようだ。名誉を重んじた当時の人々にとって、家康が甲州流の軍法を取り入れたことは、現代とは違った意味で大きな影響力があったといえる。

北洋銀行のシステム統合

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一方、家康とよく似た決断に思えるのが、1997年から2000年にかけての北洋銀行のシステム統合の事例。バブル期の不良債権が原因で経営破綻した旧北海道拓殖銀行(拓銀)からの営業譲り受けに伴い、北洋銀行はそれまで利用してきた自行システムを捨て、旧拓銀のものをベースとしたシステムを全面的に採用している。

このとき、苦渋の決断で旧拓銀のシステムを選んだのは、当時北洋銀行の副頭取であった高向厳氏。
銀行のシステムが変わることは、稼働中のシステムに精通していることで価値を認められている情報部門の人たちに大きな影響がある。また一般の銀行員にとっても、今までのシステムとは違う新しいシステムを覚えるのは大きな負担のはずだ。
そのため、北洋銀行と拓銀の合併にあたって、本来であれば旧拓銀のシステムが捨てられ、北洋銀行のシステムがそのまま残ることが考えられた。

しかし、北洋銀行の従来のシステムでは、旧拓銀との営業譲り受けに伴い急増する銀行の口座数への対応が難しいなど多くの課題があり、総合的に見れば旧拓銀システムの方に優れている点が多かった。
悩む高向氏の背中を最終的に押したのは、北洋銀行のシステム担当者。システム専門家の観点からの進言が、旧拓銀システム採用決断の決め手になったという。

北洋銀行は、システム部と、旧拓銀システムの要員を引き継いだアイソル社が協力する形で合併後のシステムを構築した。また、経営トップが旧拓銀のシステムに合わせる方針を営業店や利用部門に徹底させ、さらに行員への端末操作教育も徹底させていった。
こうした作業の結果、まったく異常なしで新システムを稼働させることができた。

徳川家康と北洋銀行の教訓

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徳川家康と北洋銀行の事例から、教訓として学ぶ点を考えたい。

まずは、徳川家康も北洋銀行の高向厳氏も、自分自身のプライドをおさえて最善の判断をした合理性や冷静さが挙げられる。
また、組織にとって受け入れにくいことを決断し、必要な作業をやり抜いたリーダーシップも教訓として挙げられる。

情シスの観点から見れば、リーダーの決断や決断後の作業を支えた人たちにも光を当てたくなる。徳川家康の場合、甲州流を取り入れる決断までの経緯や、甲州流を取り入れた後の組織内の動向などの詳細は伝わっていないようである。
しかし、きっと北洋銀行のようにさまざまな立場の人の協力や努力があったことは推測できる。

IT技術を駆使する現代も、徳川家康の時代も、システムを作ったり使ったりするのが人である以上、教訓とすべきことは変わらない面もあるのかもしれない。

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